たとえば、これから数百kmも離れたところへ旅行に行こうじゃないかってぇことになりますよね。
まぁだいたいは電車や自動車に乗っかってですけどね。
そりゃぁ、途中でトイレ休憩や土産物屋に寄ったりはするんでしょうけどね。
ほぼほぼ自宅から目的地へまっしぐらとなっちまって、あんまり出会いっていうことが無いですね。
まぁ考えてみりゃあ当たり前のことなんですけど。
似たような行動をなさっている方々がきっといらっしゃるとは思うんですがね。
最近はと言うと、コロナの蔓延防止を心がけて「まいくろ・じゃーにー」と勝手に称するミクロな旅を楽しんでいるんですよ。行き先を決めずうろちょろと、ようするに地元からあまり離れず手短な処で楽しみを見つけようってわけでね。そうそう、まぁ散歩ですよね。
いやこれがどーして、奥が深いんだなーってことを今になって気がついたんです。
春ともなれば歩いていて道ばたにボサボサと草が生えていたりします。
そういえば、今までは一括りに雑草だなーぐらいで済ませていたんですけどね。
よく見る草なんですけど、名前を知らないんですね、これが。
いつぞや、昭和の天皇陛下が『雑草という名の草は無いのです。』というようなことをおっしゃったそうですが、たしかにどんなに小さな草にだってちゃんと名前があるんですよね。
つまり知らないだけなんですよ、私という人間が。いやこれには参った。そこでさっそく本屋さんで植物図鑑のあれこれを手に取って見ましたよ。大きすぎずそこそこ植物の種類がたくさん載っていてあー、これがちょうどいいやってな訳で買いましてね。
西東社という出版社から出ている『野草・雑草の事典』(雑草と言わないで)という携行型の本です。
小さいんですが、春夏秋冬けっこう楽しめますよこれは。
重い外套のとれる頃から、だんだんと陽気が温々としてきますよね。
タンポポやその仲間連中(これってけっこうありますね)。ツユクサ、キキョウソウにヒガンバナ、はてはキンラン、ギンラン、シュンランを見つけるといやもうこれはランラン気分になりますね。
しかしそういう中にも、妙な名前の草花もありますよね。
たとえば、オオイヌノフグリ。
これって、どこのどなた様が命名なすったんでしょうね。
なんとも気の毒なお名前ですけど、小さくて青紫っぽい色の可憐な花を咲かせる草ですよ。
ちょいとここでググってみると、学名ではVeronica persicaってぇ、どうも舌を噛みそうでいけないや、もうベロニカでいいじゃありませんか。
なんでもそのベロニカさんが『ゴルゴダの丘へ向け十字架を背負い歩かされるイエスキリストに向かってスカーフを差し出しイエスの額の汗を拭った聖ベロニカという女性』だそうですね。
いやー、なんとも素敵な女性のお名前じゃぁありませんか。
しかしそれが一体どこでどういうふうにしたら『大きな犬の陰嚢』になっちまうんでしょうね。
日本国に住む者として大いに項垂(うなだ)れてしまうのはこの私だけではないと思うんですが。
だから私は誰がなんて言ってもこれからベロニカと呼びますよ。
みなさんももし良かったら『ベロニカ』ってお呼びなすってあげてください。
選挙演説ではないですが、よろしかったらどうかこれからベロニカをよろしくお願いいたします。
ぼんくら野郎